『面白くて眠れなくなる社会学』

言語、戦争、憲法、貨幣、資本主義、私有財産、性、家族、結婚、正義、自由、死、宗教、職業、奴隷制とカースト制、幸福。 あっという間に読めて、しっかり面白かった。社会学の全体感を、なるべく難しい言葉を使わずにコミカルに描いて...

『むらさきのスカートの女』

今村夏子先生の、何年か前の芥川賞受賞作。 久しぶりに開いたkindleで突然オススメに出てきたから読んでみた。ちょっと期待しすぎたのか、モヤモヤしたまま終わった。 結局、わたし(=黄色のカーディガンの女=権藤チーフ)って...

沈まぬ太陽(五)-会長室篇・下-

始終利権の話。利権オブ利権。海野・岩合・行天ら旧態の経営陣は、自分が悪いことをしているという自覚がとっくに無くなっている。罪の意識がないので、国見・恩地が正常化しようとすることに対して、心の底から自分たちが正しいと思い込...

『愛とためらいの哲学』

嫌われる勇気の岸見一郎先生著、サブタイトル「あなたの愛は、なぜ幸福をもたらさないのか」 愛の発生は偶発的だとしても、それを持続するのはスキルであって、自然的なもの・衝動的なものではない。とのこと。だから持続の過程で発生す...

『傲慢と善良』

そこまで共感はできなかったけど、物語としては面白かったので記事にする。(上から目線) 「傲慢かつ善良が自己愛の中に同居する」という新たな発見!みたいなテーマのようだが、個人的にはそれもちょっと違うと思ってる。そもそも、大...

沈まぬ太陽(四)-会長室篇・上-

関西紡績の社長である国見が、利根川首相の要請を受けて 日本航空の会長になるところから始まる。絶対安全、労使関係の改善、経営体質の刷新、公正人事の確立をかかげて経営改革のスタート。 国見会長の下には、海野社長、三成副社長。...

沈まぬ太陽(三)-御巣鷹山篇-

墜落、からの捜索、調査、世話、償い、怒り。被害者と遺族は実名も出てくる。美谷島さんは有名で知ってる。甲子園に行くために一人で乗ってた小学生の健ちゃん。 触れられてないが、坂本九も被害者だったことは有名。羽田―大阪便は、有...

『ライオンのおやつ』

海野雫 33歳、独身OL。ステージ4の末期がんで余命幾ばくもない。度重なる抗がん剤治療もむなしく体も心もボロボロになり、終末医療に切り替えようとレモン島にあるホスピス「ライオンの家」へ向かう。唯一の家族と言える育ての父に...

沈まぬ太陽(二)-アフリカ篇・下-

カラチ、テヘランからのナイロビで、僻地勤務を耐え忍ぶ。一方で国民航空は度重なる航空事故をきっかけに、安全対策特別委員会で空の安全対策が諮問されることになった。ここで従業員の労働環境に話が及び、恩地を慕う沢泉労組委員長が「...

沈まぬ太陽(一)-アフリカ篇・上-

恩地元、国民航空の従業員。期せずして労働組合の委員長に推薦され、桧山社長・堂本常務とバチバチやりあう。ベースアップ、賞与、待遇改善、土曜休暇などを一歩も引かず経営層を追い詰めていき、組合員歓喜。 首相フライトの当日にスト...

『海賊とよばれた男』(上)

出光興産を創業した出光佐三の一生を、国岡商店を創業する国岡鐡造として描く。時代は、1910年~1945年(終戦)まで。この時代は、軍国主義のいけいけどんどんで、各国をなぎ倒して植民地化していった大日本帝国時代。日清戦争、...

『運転者』

クチコミの高評価に釣られて期待しすぎた。面白かったけど涙は一滴も出なかった。薄情で申し訳ない。 自己啓発書・生き方書の部類だと思うんだが、それをファンタジー小説というプラットフォームで仕上げた感じ。そしてこの部類では近年...

『同志少女よ、敵を撃て』

舞台は独ソ戦、我々日本人目線では第二次世界大戦の一部って感じではあるものの当人らにとってはそれとは別らしい。だとしたらドイツ忙しすぎる。さておき。 主人公セラフィマ16歳女性、村の猟師、ナチスに村を焼かれ母を殺されるとこ...

小説 『言の葉の庭』 

原作は映画、これはその小説版。自分は映画版を見ていない。もう何年も前に見よう見ようと思っていたが全く行動しない自分に、「本当は見たくないようだ」と見切りをつけてその後何年も経った。今回KindleUnlimitedに出て...

『峠』(下)

江戸・横浜で武器を買い込んで故郷にもどり、小千谷・長岡での西軍との戦争と死までを描く。 小千谷談判が熱かった。いよいよ継之助の考えが理解できない藩士たちと最後まで頑固に自分の世界観(つまり代右衛門が表現するところの“きわ...

『峠』(中)

時勢をこの目で見るため少数精鋭で京都に向かい、鳥羽伏見の惨状を受けて江戸にもどり、江戸の藩邸整理までを描く。 福沢諭吉との会話に、河合継之助の保守的な越後人格がよく表れていると思う。先見の明があって人望もあって知略もあっ...

『峠』(上)

河合継之助の江戸遊学から池田屋事件あたりまでを描く。 江戸では、古賀謹一郎の弟子となり久敬舎に寄宿。横浜開港に感銘を受けスイス行商人ファブルブラントと親交。備中松山への遊学で山田方谷先生に弟子入り。長崎遊学でいよいよ幕府...

『じんかん』

終始臨場感があってめちゃくちゃ面白かった。自分は地域柄、上杉・武田のことは多少なりとも見聞きするわけだが、今まで全く知らなかった阿波の三好家のことが好きになった。それでもって、元長・新五郎・九兵衛(松永久秀)のようなメタ...

『ケーキの切れない非行少年たち』

序盤でのRey複雑図形の模写結果には、正直驚いた。 この模写結果は、当人がお手本と比較して「できた」と感じているならば、見ている景色が違うって解釈でいいと思うんだけど、「うまく模写できません」だと、見ている景色は同じだけ...

『変身』

朝起きると毒虫になっていた主人公、グレゴール。本人と家族の葛藤を描く。 いろんな見方ができる。たとえば、ひきこもり。家から出ず社会に適合できなくなり、家族の経済援助がなければ生きていくことができない。たとえば、障碍者。心...

『老人と海』

KindleUnlimitedにある名作をむさぼってる今日この頃。小学生か中学生のころに、短編で読んだことがある気がするんだけど、教科書にあったかな?だけど物語は全然覚えてないし、印象にも残っていない。 今回は没入してほ...

『楽園のカンヴァス』

知識がないので、どこまで事実で何がフィクションなのか判断できなかったが、時代と人物と登場する作品はどうやら本物で、ストーリーは脚色があると理解した。 ルソーに対する、近い人たちの評価が本当のところはどうだったんだろ。アポ...

『仕事は楽しいかね?』

嫌われるナントカと同じ、「哲人と青年」形式なのが良かった。読みやすい。 一言でいうと「すべて偶然だから数こなせ、後付けのストーリーに踊らされるな」って感じ。 刺さったセンテンス・最初に陸にあがった魚は長期にわたる目標を持...

『論語と算盤』

あれだけ「道徳」、「誠実」、「孝行」とか説いておきながら、女性関係にだらしないところが好きすぎる。この達観した感じは、一定のステージにいった者だけに許される余裕感は否めない。あと、「経営者が従業員におすすめする本」みたい...

『学びを結果に変えるアウトプット大全』

具体的でよかったと思う。精神論ではなくメソッドに拘った感じがした。 ただ、自分にとっては得るものが少なかった。今の生活仕様やルーティーンを変えるつもりがないから。こういっては傲慢かもしれないけど、アウトプットの機会は、仕...

漫画 君たちはどう生きるか

漫画と題してるのだが、ほとんど漫画じゃなくて、途中思いがけず眠くなった。 こういう本を、麻薬かまたは詐欺だと思うようになった。読んでいるときや読み終わった直後は、俺もコペル君のように「正しいと思ったことをやる人生」にしよ...

人間失格

書評 悲しい物語だった。終始薄暗い描写。冬に人に会わずこもってこれ読んでたら死ぬと思う。 わかったような顔して「近頃は生きづらい世の中になった」と言う人がいるが、人間関係の混沌や自他の境界線への苦しみのようなものは、今も...

ぼくらの七日間戦争

書評 これ昔、たしか小学4年生くらいのころに、当時、家のVHSで実写版(というか実写が原作なのかな?)で見たことがあって。当時の時点で相当古い映像に感じてた気がするから、40年くらい前の作品なのかな。 そのときの印象と、...

先生、しゅくだい わすれました

書評 あー、こういう本が売れる時代になったんだーと思った。 宿題を忘れた生徒に対して、「宿題を忘れるときは、もっと上手に嘘をつきなさい」という担任の先生。次の日、忘れた理由をおもしろおかしくユーモアたっぷりに説明すると、...

ルドルフとイッパイアッテナ

評判どおり良かった。終始テンポが良くて、最後のほうは猫の躍動感がすごい。1日で読み切れる。 甲子園のテレビ中継で地元を見つけたときが、俺的には一番盛り上がったかな。 ちょっと前に映画があったそうだがそれは知らん。

世界一トホホな算数事典

この手の本で外れはないかな。普通に大人が読んでも教養として面白い。 思うのは、1+1=2であるのは、イチ解釈(10進数という、たまたまその時代の人たちがわかりやすかった定義)であって、そうじゃない場合もあるよってのは、算...