知識がないので、どこまで事実で何がフィクションなのか判断できなかったが、時代と人物と登場する作品はどうやら本物で、ストーリーは脚色があると理解した。
ルソーに対する、近い人たちの評価が本当のところはどうだったんだろ。
アポリネールやピカソが、洗濯船で開いたパーティはからかい半分だったのかな?
老齢で先のないヘタクソな画家をからかっていたのかな?
そう思ったのは、ヤドヴィガとヤドヴィガ目線にもっていかれた読者の心情なのかな?
ピカソの良さもルソーの良さも俺にはそこまでわからないんだけど、仮にピカソが巨匠だとすれば、そのピカソが評価するルソーもすごいという後付けの評価も、特に死後においてはあるのかもしれないよね。「死んだらみんな褒め出す」みたいな空気、今もあるよね。
たとえばセンスやキレのある芸ではないけど、情熱だけはすごくて一部のコアなファンで売れていた芸人が、死んじゃった途端にセンスのある界隈の人たちが「あの人はすごかった」って言いだすみたいな、そういうことなのかな。否、そうじゃないとしても、そこには哀愁や同情が一切ないと言い切れるのかな?
ダチョウ倶楽部の竜ちゃんとかさ、生前はまさに「ヘタウマルソー」のような立ち位置だったと思うけど、逝去した途端に周囲は「彼のお笑いへの情熱は・・・」とか「最も尊敬する芸人だ」とか、歯が浮くような評価がバンバン出てきて。
それが嘘だとか決めつけるつもりはないけども、じゃあどうして死ぬ前にそうならなかったんだろ。って思わざるを得ない。
あとは、最終日の講評の部分、心理戦や恋愛色が強く出てめちゃくちゃになって真に美術の講評対決にならなかったのが残念だけど、逆に言えば自分のような素人が最後まで楽しめる物語性を重視したつくりだなとすぐに理解した。
読みやすくて素人でも楽しめました。