漫画と題してるのだが、ほとんど漫画じゃなくて、途中思いがけず眠くなった。
こういう本を、麻薬かまたは詐欺だと思うようになった。
読んでいるときや読み終わった直後は、俺もコペル君のように「正しいと思ったことをやる人生」にしようと思うのだが、実際は30分で元のマインドに戻る。というか戻った自覚すらなく、読む前と同じ自分がそこにいるだけ。
そもそも「何か変わりたい」とか強く願って読み始めてるわけじゃないし、それってのは本に期待しないというよりは、むしろ自分に期待しないという防衛的本能。
さておき、学校には「道徳」って授業がまだあるのだろうか。
(ここでの「まだ」には特別な意味はなく、いつか無くなると予想するわけでもなく、自分の小学生の頃とは時代が変わっていることによる、念のための「まだ」)
この本はまさに道徳の授業。道徳ってのは「人間が社会的に生きるために身につけたか あるいは根源的にもつ内面の優しい気持ちへの賭け」のようなものでとても不安定に感じる。真逆に行くと「法律」があるように。
この「賭け」という面が危ういと思うことは、
たとえば道徳でよくある「たける君はみきちゃんを泣かせてしまったとき、どういう気持ちだったと思いますか?」という問いで「弱者がひれ伏して爽快だった」という答えが出ない前提で、人前で発表させること。
ここでは実質的に「謝りたい気持ちになった」が正解なこと。
ここで授業としての「正解」を教えることで、実際の(たとえば)いじめの現場との違いが、逆にはっきりとしてしまい、「授業だからこう答える」「だけどあいつは許さない」が普通の感覚になること。
ケーススタディで固定された答えを教え込むことで、「それとこれはべつ」的な能力が、伸びる気がする。危うい。