『愛とためらいの哲学』

嫌われる勇気の岸見一郎先生著、サブタイトル「あなたの愛は、なぜ幸福をもたらさないのか」

愛の発生は偶発的だとしても、それを持続するのはスキルであって、自然的なもの・衝動的なものではない。とのこと。だから持続の過程で発生する「冷める」という事象も本人のスキル不足ということになる。

また、根底にあるのは対人関係であり、家族や友人との対人関係と何ら変わらないとする立場とのこと。からの共同体感覚。アドラー研究の岸見先生っぽい。

とはいえ、アドラー心理学と愛は相性が悪いと思ってる。この本でも言及されているインパーソナルな愛(つまり、特定個人への情愛ではなく、敵も味方もなく全員に好意をいだくこと)を肯定するからには、1人の人に生涯添い遂げるパーソナルな愛は、説明が厳しいんじゃないかと思う。そこでスキルの登場ってことなんだろうか。

たしかに、相手に何かを求めなければ、苦しいことは1つもない。パーソナルな関係性において嫌われようともどうなろうとも、ひそかに愛し続けることは個人の問題だ。そう考えると、アドラー心理学と相性が良い。パートナーが離れていくと同時に自分の心も離れていくようでは、真に愛があったとは言えないってのもうなずけるか。

巷の「モテテク」とか「愛され○○」とかいかにも低俗なスキルに踊らされる我々だが、大事なのは自分側の愛を持続するスキルってことらしい。

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