朝食のティラミス

今年度に入って、すでに同じホテルに50泊~60泊を過ごしている。次第に朝食レストランのおばちゃんと仲良くなってきた。

最近の話題は、もっぱら「ティラミス」である。面白い。

5月~7月は、朝食ビュッフェのデザートコーナーにティラミスが常設されていた。好きで必ず手に取っていた。ところがそれが、8月の頃からなくなっていた。

あるときおばちゃんが、「ティラミスなくなりましたぁ涙」と報告してきた。
僕は「あぁ、好きだったのに残念です」と返した。本当に大好きだったので、心底残念だった。以降も数日は、僕とおばちゃんの間で失われたティラミスに対して、倦怠期のカップルのような腐敗ムード漂う朝を過ごした。

8月後半になると、なんとティラミスが復活していた。しかもなんだかボリューム感がパワーアップしていた。僕は大はしゃぎで手に取りおばちゃんのほうを見ると、彼女も僕を見てニンマリ。

しかしここで想定外の事象が起きた。ティラミス、凍ってカチコチだった。腕力には多少の自信がある僕が、スプーンを全力で押し込んでも5mm程度しか掘ることができない。

それでも僕はおばちゃんのニンマリに応えるべく、カチコチなのをひた隠しにして、5mmずつ食べた。たぶん、今回だけ解凍が遅かったのかな。明日は大丈夫かなと一旦忘れることにした。

翌日、やはりカチコチだ。おばちゃんが「ティラミスどうだった?」と聞いてきた。
僕は「めちゃくちゃ美味しかったです。ですが・・・」と言葉に詰まったあと、「これってもうちょっと解凍してから食べる感じですかね?」と聞いた。

するとおばちゃん、「これはこのまま食べるやつです」とのこと。
ま、まさかッ!と思いつつ、「ですよね、ありがとうございます」と涼しい顔でお礼を言った。少しココのティラミスが怖くなった。

数日後、相変わらずティラミスは凍ってる。僕は僕なりの解決方法を考えた。
これを今朝実行した。ホットコーヒーを上からかけて、自分で解凍するという暴挙に出た。妻の料理に隠れて醤油をかける夫のような素振りで。

これが功を奏した。アツアツのコーヒーを小さじ1杯ほどかけて食べると、絶妙に解凍されて随分と食べやすくなった。美味しい。その後おばちゃんが、「最近ティラミスどう?」と聞いてきた。

もしかして、隠れてコーヒーかけたのばれたかな・・・と思いつつも、正直に「ちょっとやっぱり硬すぎて、上からコーヒーかけました」と、宿題を忘れた生徒のような顔で答えると「それだと美味しい?」と聞かれたので「おかげさまで美味しくいただいてます」と回答。

ニンマリしていた。次のバージョンアップが楽しみ。

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