ドラマ「白い巨塔」の思い出

たしか中学3年生だった。唐沢寿明演じる財前五郎の白い巨塔。
当時はやたら恋愛ドラマ・青春ドラマばかりだったと記憶しているが、そういうのには見向きもせず、社会派テーマを扱う白い巨塔にだけはドはまりした。木曜22時だったと思う。

舞台となっている浪速大学は、大阪大学医学部がモデルであり、中ノ島や北新地といった地名が出てくる。最近、中ノ島で仕事したり北新地で飲んだりすることが多くなって、急にこのドラマのことを思い出して、全話見返しているところ。

テーマは、大学病院における権力争いと腐った医局制度。
野心に燃える財前五郎と患者一筋の里見先生。この同期2人の対照的な人物像を通し、大学病院とは、医療とは、正義とは、人間とはを描く。

タイトル「白い巨塔」が意味することは、(多分に自分の解釈が含まれるが)大学病院独特の閉鎖的で世間離れした組織体制、またそれは権力争い・派閥争いで構築された世界観で患者を寄せ付けない圧倒的な存在感、そうした空気をまとった白衣の教授たち。これを総括して、白い巨塔であると理解している。

僕は、財前五郎が好きだった。大人になって今見ても財前五郎が好き。なにせかっこいい。そして人間味がある。みんな里見先生好きで肩身が狭い。

しかし、何も医療だけじゃない。政治もそう、企業もそう、地域社会もそう、学校の教室もそう。組織には、多かれ少なかれこうした派閥争い・権力争いはある。里見先生を支持して財前五郎を否定するのは現実を直視しないことを同じことだと思うわけだ。

「樽一杯のワインを飲めなくするには毒一滴で十分だ」という格言がある。毒一滴を肯定するわけではないが、そうした濁った世界でも泳げる耐性を持たないと人生は辛すぎる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA