大阪で帰宅難民になった②

6/3朝
夜が明けて、二日目の熟成ゾンビがそこにいた。相変わらず声は出ない。
二日目のゾンビは、性懲りもなく新大阪駅に向かう。道中スマホで運行状態を確認すると、「通常運行」の緑の文字。これ以上なく安堵した。
確実に帰れるという希望が、何よりも強いクスリであり全身の栄気となるのがわかった。

ところが、駅に到着するなり絶望した。「6/3午前、名古屋-東京間 運転見合わせ」の張り紙。
改札前まで着くと、俺より少し元気なゾンビたちが、駅員という名の兵隊さんたちを囲ってる。
さながらバイオハザードのラクーンシティの病院そのもの。
さすがに俺も、柱に寄りかかって座り込んでしまった。もう無理。

ほどなくして、とりあえず名古屋を目指すことにした。6:11分発 名古屋行きの文字。これが命綱に見えた。普段は見向きもしないこだま号に一縷の望みをかけて搭乗。
少なくとも1時間はかかる。なんとなく、その間に天気がよくなってこのまま東京へ行きまーす的なシナリオを想像したが、「終点、名古屋駅」のアナウンスでやがて現実に引き戻された。

何も解決していない。我は名古屋のゾンビなり。

しかし、俺には仮説があった。大阪にいる限り、名古屋へ出る列車が行き来するため東京行きの新幹線に「乗車して待つ」ことができない。しかし、名古屋まで行けば、東京方面ホームでは始発列車に「乗車して待つ」ことができるはず。

それにいち早く乗れば、今この状況で考えうる最大の安寧を得られるはずだと。
この仮説は当たった。

名古屋で降りたあと、15番ホームへ向かった。ここに12:06発の東京行きがスタンバイしていた。このときまだ7時半頃ではあるが、休憩スペースを兼ねて始発列車が解放されていた。

ここで無事自由席をゲットした。あとは12時まで祈るのみ。適当に食料も調達して、一冬越すくらいの意気込みで4時間を車内で待つこととした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA