「もうオンラインでいいよね」ってよく聞く。概ね賛同するが、格差(実力差)が浮き彫りになったと感じざるをえない。
1つはウェブ会議。
今まで対面が当たり前だったところをウェブ会議で代用でき、なんら問題ないと思っているとしたら、それはコミュニケーション上級者がより高いコストを払っているからだ。
説明がへたくそな人はよりその稚拙さが際立ち、理解力がない人らは次第に置いて行かれ、上級者はより上手に伝達しようと創意工夫するし、あるいはアホの言うことを理解しよう聞きとる力も伸ばして、会議を成立させることができる。
対面ですら質問できない無能はウェブ会議で挙手なんてするわけもなく、そこを上級者が穴埋めしながら進行していく。
関係者の複雑な利害を整理して意思決定につなげていくのは、相応に会話コストや準備が必要で、それがわかってれば安易に全部オンラインでいいとはなかなか言えない。
もう一つはチャットを中心としたテキストコミュニケーション。
最もよく目にするのは、「はい」か「いいえ」で答えられる質問に対して、ダラダラと長文を書く人や返事をしない人。
次いでよく目にするのは、事実を聞かれているのに解釈で答える人。
たとえば「進捗」に関して、「3日間遅れ」は事実で、「問題ありません」は解釈。
あるいは「品質」に関して、「不具合が3件」は事実で、「低品質です」は解釈。
事実を聞かれたら事実を回答し、解釈も交える場合には「私は○○と考えています」と言えばいい。対面でのコミュニケーションであれば、このあたりを上司がうまく質問してスムーズに情報を引き出していたのだが、チャットでこれをやるのは上司側に相当なコストを伴う。