ノーブレス・オブリージュ

(沈まぬ太陽 会長室篇 上巻から)
「ノーブレス・オブリージュ」って良い言葉だなぁと思いつつも、ほんの少し違和感を覚えたのでこれを明らかにしていく。

ノーブレス・オブリージュ

「位高ければ徳高きを要す」を意味し、一般的に財産、権力、社会的地位の保持には義務が伴うことを指す。
作中では会長が「高い地位の者には義務が伴う」として、機長らを勇気づけるシーンで使われている。これはすごく良い。刺さった。
だけど、こうした一方の立場に立った表現は、「誰が発言するか」次第で毒にも薬にもなる。

たとえば、「お客様は神様」と似ている。
これは、随分と使い古されて今となっては「いや、そこまで遜らなくても」という風潮は強いが、提供者サイドがそういうつもりで製品やサービスを開発するのは、俺には真っ当に思える。ところが、消費者サイドがこれを言い出すと傲慢極まりない。つまりそういうこと。

あるいは、「お金を払うのは男の役目」という価値観も随分と古い考えで今となっちゃ炎上ネタになってるが、男側がそうした矜持をひそかに共有していることは、悪いこととは思えない。ところが、女性側がこれを主張しだすと下品極まりない。つまりそういうこと。

ノーブレス・オブリージュについても、地位が高い者同士が自分たちを鼓舞して勇気づけるために使われるのは良いが、そうでない者や外野が「地位が高いんだから責任を取れ」と言い始めるのは下品。

どっちサイドが用いるかで、とっても上品な言葉になったり、下品な言葉になったりする。
ということが言いたかったです。

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