この世は、ありがたい言葉で埋め尽くされた。
自己啓発本、成功者の発信、逃げてもいい、好きなことで生きる、楽して稼ぐ
これを「ありがたい言葉市場」と(俺は)呼ぶ。
衣食住は満たされ、食べるものに困ることはなくなった。
皆、自己実現という海にむかってボートを漕ぎだした。
これはしかし、結局のところ、利益を得ているのは発信者側。
次から次へと、人生を変える言葉だとか成功ストーリーが流れてくるが、どれも最初に聞いたときほどの感動がない。これは、最初のがたまたま至高だったわけではなく、こちらの感覚のマヒによるところが大きい。
聞いて、満足して、自分も成功者の仲間入りをしたと思い込んで、寝る。これの繰り返し。
本を読んでは感嘆し、セミナーに出ては共鳴し、youtubeを見ては歓喜し、気づけば自分だけ元の位置に立ってる。これの繰り返し。
これが「ありがたい言葉市場」のカモである。
この世は、ありがたい言葉で埋め尽くされた。今度はできるだけシャットアウトしようみたいな流れが来ると予想する。