シンプル サボタージュ フィールド マニュアル。
1944 年 1 月 17 日(第二次世界大戦中)に作成された、CIAが敵組織内でスパイ活動をする際に諜報員に課す行動マニュアル。このなかに以下の11項目がうたわれている。
言い換えると、次の11項目を実践することで敵組織の能力を低下させよ。ということになる。
1.「注意深さを促す」。スピーディーに物事を進めると先々問題が発生するので賢明な判断をすべき、と「道理をわきまえた人」の振りをする。
2.可能な限り案件は委員会で検討。委員会はなるべく大きくすることとする。最低でも5 人以上。
3.何事も指揮命令系統を厳格に守る。意思決定を早めるための「抜け道」を決して許さない。
4.会社内での組織的位置付けにこだわる。これからしようとすることが、本当にその組織の権限内なのか、より上層部の決断を仰がなくてよいのか、といった疑問点を常に指摘する。
5.前回の会議で決まったことを蒸し返して再討議を促す。
6.文書は細かな言葉尻にこだわる。
7.重要でないものの完璧な仕上がりにこだわる。
8.重要な業務があっても会議を実施する。
9.なるべくペーパーワークを増やす。
10.業務の承認手続きをなるべく複雑にする。1 人で承認できる事項でも3 人の承認を必須にする。
11.全ての規則を厳格に適用する。
何年か前に「ほとんどの日本企業には敵組織のスパイがいることになる」と揶揄する記事を見たことを覚えているが、こうしたいわゆる「大企業病」が“どうダメなのか”を当時は構造的に理解できてなかったと思う。
だが最近になって「イノベーションのジレンマ」に陥ることを指しているんだと理解した。
大企業病の結末は、持続的イノベーションに固執した状態で、そこに新興市場を追求する能力の高い小規模な若い企業が来て、時すでに遅しにならざるをえないということ。