『ベアトリーチェ・チェンチ』肖像画

もっと評価されてほしい。グイドレーニの『ベアトリーチェ・チェンチ』の肖像画。

個人的には、真珠の耳飾りの少女より美しいと思う。
実はフェルメールはこれに影響を受けていたとする説もあり。
時系列的にも17世紀前半で整合するものの、これはローマだしフェルメールはオランダ。
現実的にはどうなんだろ。

さて このベアトリーチェ、聡明で澄み切った表情に見えるが、「親殺しの罪でこれから死刑」というその直前の状態を描いたもの。
たしか当時23歳にして、死刑直前にして、この達観した表情。
我が人生に一片の悔い無しとでも言ってるかのよう。やれるもんならやってみろと。

チェンチ家はローマの貴族で名家。だが娘のベアトリーチェは父親の性的虐待に苦しむ日々。
あるとき殺害を計画。恋人や家族で画策し、チェンチ家の暴君である父親を撲殺。自殺を偽装してベランダから落とした。

後日死因が転落死ではないことがバレて、一家全員が死刑。情状酌量を求める市民の声があったものの、裁判長がチェンチ家の遺産とつながってたらしく、斬首。ベアトリーチェの弟を除く一族が全員斬首。
弟はその後、気がふれて精神病院へ。数年後自殺。

この肖像画を制作したとされるグイド・レーニは、もっと評価されていいと思う。
教科書にも美術史にも出てこないため認知度は低いが、ラファエロを彷彿とさせる伝統的な古典作品をたくさん手掛けてる。
グイド・レーニと、そのあと出てくるドミニク・アングルとかの画風は、もっと評価されてほしい。
この絵に関して言えば、絵に名前がないのが残念。
『ベアトリーチェ・チェンチ』の肖像画。と紹介されている。

『親殺しのベアトリーチェ』とか、『斬首刑に微笑む少女』みたいなエモい名前が必要だった。そしたらもっと評価されたと思う。

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