従業員の士気が全体的に低い、みんな疲弊している。どうやら多くの人がそう感じているらしい。
こうした状況で、「みんなの士気を上げるにはどうしたらいいか」といった問いをもらうんだが、まずそういった一発必中の銀の弾丸はないことはご理解いただきたいところ。
すでに現場でできることはある程度手を尽くして今に至っているのだろうから。
次に、定義を確認してほしい。
「みんな」って誰なのか。それ次第では課題のオーナーが変わるはず。
一人残らずすべての従業員を指すのか、一部の部署・職種だけなのか、一部の年齢層だけなのか、もっと個別的な特定の集団なのか。
また、彼らを「士気が低い」とラベル貼りをした根拠は何なのか。
ここでは、最初に思い浮かんだ1名の人物で想像するのがいい。
「なぜ彼は士気が低い」(と思う)のかを、深掘りしていく。
複数の対象者のことを一度に考えて捻出した作戦は、たいてい徒労に終わる。
1人(~3人程度)に絞って考える。
すると、適用範囲は狭くても本質的な問題が見えてくる。
・どうやら上司とそりが合わないようだ
・担当するプロジェクトが行き詰まっているようだ
・あまり出張には行きたくないようだ
「みんな」とか「全体的に」とか言ってるうちは絶対に見えてこない、個々の問題というのがある。そのために1on1面談をするわけだが「上司とそりが合わない」時点で詰んでいる。
(もちろん大前提として本当に従業員全員であれば、経営判断の舵取り、人員配置の見直し、採用方針の転換が必要になる)
こうしてまずは1名を救うのがいい。この一人がまた別の一人を救うようにして、複利で波及させるイメージを持ってほしい。
一見すると「まずは1人」なんてのらりくらりとやってられるかと考えがちだが、組織は細胞みたいなもので1セルずつしか回復しない。
何か1つの施策で全員を救えるだなんてインスタントな考えは、捨ててほしい。