算術平均
最も単純で小学校で習う平均。母集団に特性やカテゴリがなくすべて同条件であることを前提として足し合わせて割るだけ。1つ1つのデータが、最終平均に対して等しく寄与する。
例:テストの点数 Aさん60点、Bさん60点、Cさん90点
算術平均は、(60+60+90) / 3 = 70
加重平均
母集団をカテゴライズする特性があり、その割合(重み)を係数として最終平均への寄与度を操作する。
例:テストの点数 1組 の平均80点(25人)、2組平均70点(30人)
加重平均は、(25*80 + 30*70) / (25*30) = 74.54545454545455
単純に(80+70)/2だと75になるところ、人数の多い2組の影響をより強く受けていることがわかる。平均年収なんかでも、一部の富裕層で吊り上がったりするので加重平均にするのがいいだろう。
幾何平均
売上高、人口、収穫量といったデータの成長率でよく用いられる。
今年の収穫量が100→翌年180→翌々年210→3年後300と推移した場合、その成長率は
100→(80%成長)180→(16.7%成長)210→(42.9%成長)300となる。
この成長率の平均をとるとき、単純な算術平均では (80+16.7+42.9)/3 = 46.5333 となるが、これを検算してみると以下のように不都合な結果となる。
100→(46.5%成長)146→(46.5%成長)213→(46.5%成長)311(≠300!)
ここで幾何平均を用いる。母集団の個数で割るのではなく、相乗のn乗根をとる。
この例では、3√(1.8 × 1.167 × 1.429)=1.443となる。
検算してみてると、以下のように最終結果である300を得られる。
100→(44.3%成長)144→(44.3%成長)208→(44.3%成長)300
移動平均(単純移動平均)
株価や気温といった時系列データの変動を表す際に用いられる。
とある観測地点を軸として「N項移動平均」と表現する場合に、当該地点を含めたより近い前後の地点N個分の算術平均で算出する。
下表のように算出する。3項移動平均であれば観測データと前後のデータの算術平均、5項移動平均であれば観測データプラス前後2つずつの算術平均となる。
テクニカルなことは調べればわかるものの、概念だけでも覚えておくと社会や仕事で役立つ場面はあると思う。
ところで、「人類は平均的に1つ睾丸をもっている」という “平均” に対する有名な風刺がある。これは、2つ持っている種 と 1つも持っていない種の2種が約50%ずつで構成されているという事実を知っているからこそ、笑いとばして「そんな平均に意味はないよ」とわかるものだが、よくわからない分野で用いられると抗えないものである。
他人が作った数字だけを真に受けず、データの集め方と構成に恣意がないか疑うことも大事。