プラットフォーム(2021, 西)

スペイン映画、いわゆるシチュエーションスリラー。縦型の階層構造の牢獄、上から下へ食事がエレベータのように降りてくるが、もちろん上の人間がどんどん食い尽くすので、下に行けば行くほど残飯しか残っていない。1フロアは二人一組で、月に一度階層位置がシャッフルされる。運よく上階層に行ければ一か月は食事にありつけるが、下階層のほうになると何も食べれず、しまいにはカニバリズムに走ってしまう。

罪を犯したらここに入るのか、主人公のゴレンがどうしてここに入ったのか、最後までよくわからない。この施設の運営主体も意義もよくわからない。
ま、裏の設定は何かの社会実験なのか罪人の更生施設なのかはたぶんどうでもよくて、現代社会における富裕層と貧困層の格差の比喩かと思う。

最終的に、ゴレンとバハラトがエレベータ式の食卓に乗って最下位層である333まで下ると、そこには小さな女の子がいて、その子を戻りの超高速昇降に乗せて終わる。
一番割を食ってるのは子供だよっていうメッセージを、主催者に伝えたことになる。

考察というか感想なんだけど、一応データ上は世界の貧困は減っていて、金持ちがどんどん金持ちになる傾向はあるし、そういう開発が地球を壊していることも証明されたけど、今生きている人が着実に救われてるから、格差社会って言うけどまぁいいんじゃないかと思ってる。

日本も世界も、数百年前にさかのぼればもっとひどい階級社会や奴隷労働もあったわけだけど、道徳(教育)の面でも法整備の面でも、それは悪いことだという概念を多くの人に浸透させることに成功したから今があるのであって、もうこれは反対方向にはいかないというか、人類史において覆されることはなさそうだなという安心感はある。
道徳が法に追い付いてないとか、法が道徳に追い付いてないとか、両輪のバランスが悪いとダメなんだけど、どっちも猛スピードで回ってる感じで、あとはオートマチックに良くなっていくだけみたいな。

それでも「上で搾取してるやつが許せない」っていう考えもわからなくはないんだが、自分はそこまで差し迫ってないためか他人に関心がないのか、そこまでには至らない。
というか、正確には「搾取されてる気がする」の域は出ないのだろうから、考えても意味がない。逆に言えば、真に自分がいっちばん下でない限りは自分も誰かから搾り取ってることを認めることになるわけで、その辺の考えが甘いのかなとも思う。

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