職場では、仕事ができない人がいじめられる。
例外はないと考えたほうがいい。
そんなことないという主張も聞こえてくるが、ここでいう「いじめ」は必ずしも直接的な暴言や無視に限らない。ここでの「いじめ」は、「集団が1名を疎外する構図」と定義してみる。
まず、仕事ができない人には重要な仕事が回ってこない。疎外というにはまだまだ大げさだが、大事な仕事を与えないという「上司 対 彼」の一対一の疎外が始まっている。多少は仕方がない。だって他者と比べて出力が劣るのだから。
しかし、能力不足が公然の事実になってくると、「やらせてみる」というイベントすら起きなくなってくる。新人や若手であれば、未熟でもベテランがフォローしながら「やらせてみる」イベントが発生する。これが「能力不足が公然の事実になった人」に対しては、絶対に起きない。新しいことをやらないから本人が成長しないまま年月が過ぎる。
すると、次第に話題を共有できなくなる。当然だが職場では仕事の内容が話題の中心なので、こればかりは避けられない。ちょっとした雑談だったり、あるいは会議においても、その人が発言する余白がなくなってくる。これが、「組織 対 彼」の疎外。
誰かが図ったかどうかに関係なく、集団が1名を疎外する構図がどうしても起きてしまう。
残酷かもしれないが、本人がここから抜け出す努力をしてほしい。
抜け出すってのは、能力を身につけるというだけではなく、転職や異動といった選択肢も含めて。
だって、登場人物のなかに悪者がいないのだから。