若いころは、人生に悩みや後悔はつきものだと思っていた。人間関係・容姿・能力・お金の悩み、あのときこうしとけばよかったという後悔。そういうものは、自分の努力や行動とは無関係に不可抗力として発生し、そうしたモヤモヤと付き合っていくのが人生だと思っていた。
事実として、Aを手にしたらBが欲しくなり、Bを手にしたらCが欲しくなったし、勉強だってスポーツだって到底勝てないツワモノどもがゴロゴロいて、それらを実感するたびに、底なしの悩みや後悔に感情や思考をもってかれた。
ところが最近はどうやら、悩みや後悔がない気がしていた。かと言って、諦めや自己否定みたいな感情があるわけでもない。これが続けば無敵かもしれんとか思っていたわけ。
加えて、人の悩みがすべて同じように聞こえるようになってきた。あれこれと十人十色に悩みや後悔があるようだが、実はそれらは抽象化していくと、「自分は変わる気がないけど、他者や環境は変えたい」と聞こえてくる。
仮に自分もそのレベルで語れば無限の悩みや後悔があることにも気づいている。つまり、悩みや後悔がなくなったわけではなく、その定義が10年とかの年月をかけて塗り替わったんじゃないかと思う。無論、瞬間的に訪れるそういう感情はあるが、もう一人の冷静な自分のほうが圧倒的に強くなった感じ。
繰り返しになるが、年を重ねたことによる諦めやルサンチマン的な感情ではなく、純粋な無敵感。傲慢に聞こえるだろうけどむしろ逆。この感じはきっと人には伝わらない。
(無敵に代わる良い言葉があればリライトしたい。)