『絶望名人カフカの人生論』

フランツ・カフカ

去年読んだ『変身』は記憶に新しい。朝起きたら毒虫になっていたという衝撃のストーリーに一気読みしたわけだが、今回の「絶望名人カフカの人生論」を読んで理解した。

僕もこう見えてネガティブ界ではエース級のネガティブさを日々発揮しているのだが、カフカ大先生にはかなわない。大先生どころか、銀河系ネガティブ会の永年名誉会長である。

たとえば、「ひとりでいれば何事も起こらない、床の上に寝ていればベッドから落ちることがないのと同じように」

わかるなぁ。イヤなことを避けるためなら、イイことが起きなくても構わない。いわゆる引きこもりタイプの思想。僕は間違いなくこの属性を持っていると自覚している。これまでの人生においては、偶然に次ぐ偶然によって引きこもるという生態が顕在化しなかっただけで、常にそれと隣り合わせの人生であったと自覚している。

小学生の頃も中学生の頃も、学校に行きたくない・行っても意味がないとか考えることは何度もあったし、(ちょっとやばい奴感がばれてしまうが、)家の庭を昼夜掘り続けて地球の真ん中にたどり着きたいとか、さっさと自衛隊に入隊してめっちゃ強くなりたいとか、そんなことを考えていた。これをネガティブと呼ぶのかどうかは微妙なところだが、とにかく人間関係の面倒くささは小学2年生頃からは余裕で感じていた。

そうやって尖ったところを伸ばすことができればよかったのかもしれないが、結局は他人の目を気にして人並みに義務教育を終え、無事中庸な人生になった。

そんな僕から見れば、この尖り方を徹底できるカフカは強い。社会のなかで「自分は弱い」という尖り方を絶命するまで徹底できる人って実は一番精神的にタフなんじゃないかと思う。

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