東京から新潟に向かう新幹線。僕が降りる2つ前の駅についたとき、降りる人が多くて通路が列をなしていた。
僕が座っている席あたりで、3歳か4歳くらいの男の子が並んでいた。大きなボンボンのついた水色のニット帽が特徴的。その後ろには母親らしき人。
すると、この子が突然ひじ掛けに置いた僕の左腕をつかんだ。なんとなく好奇心で触ったあとにパッと離すのかと思いきや、その後もサワサワと触っている。僕は何のリアクションも取らず、サワサワされている左腕を気にすることもなく、ただ右手でスマホをいじってる。何かリアクションをとってしまえば男の子はビックリして泣いてしまうかもしれない。母親らしき人はリュックを開いて何かを探すのに夢中で、この子と僕の秘密の関係に気づいていない。
なにこの幸せな時間。
願わくばずっとこれが続いてくれと思ったが、そう思っているうちにあっという間に終わってしまった。母親が気づいて、「あっ、すみません」と言って彼の手を奪い取った。時間にして、たぶん5秒からいっても10秒くらいだったと思う。
動きだした新幹線の窓からもう一度だけ水色のボンボンを一目見ようと探したのだが、見つけられなかったのが心残り。