いつしか睡眠は報酬になった

子どもの頃、寝るのは苦手だった。正確には、眠ることに対して幸福を感じることはなかった。兄や弟と比べると、夜更かしは苦手ですぐに眠ってしまうタイプだったが、できるだけ眠りたくなかった。

中学・高校時代も同様で、部活やなんかでクタクタになっていても眠ること・布団に入ることを「幸せ~」みたいに感じることはほとんどなかった。

僕が睡眠を報酬と感じるようになったのは、30歳を過ぎてからだと思う。もちろんある日突然そうなったわけではなく、20代の10年間で徐々にその足音が近づいてきていることは感じていた。布団に入ってぬくぬくしたいみたいな。

今は、完全に仕上がってしまった。睡眠は至福である。

繰り返しになるが、僕は子どもの頃は、のび太くんが昼寝に幸せを見出していることを理解できなかったし、給食後のお昼休みに昼寝をする友達のことはもっと理解できなかった。むしろ、ほかに楽しみがないなんて可哀そうだなくらいに思っていたことは謝罪したい。ようやく理解しました。

そして仕上がってしまった今、この感覚が一生続くことに少し絶望している。まだあと20年くらいは生きたいと思っているわけだが、睡眠=報酬という人生の前提が決まってしまったような感覚がある。あとはずっと睡眠を欲しがり、睡眠を楽しめばいいだなんて、絶望でしかない。無論、ほかの報酬もたくさんあるわけだが、そういうのも固定化されていくんだと思うとやっぱり絶望しかない。

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