都内に居を移してからは車に乗ることはなくなったわけだが、地元では車必須だったので自分も中古車屋さんにお世話になったことがあった。
今回のビッグモーターのような事件があったから言うわけではないのだが、以前から価格設定に対する疑惑みたいなものは感じていて、そういう穿った見方が態度に表れているイヤなお客だったと思う。
そもそも僕の基本的な考えとして、車は走ればよい・単なる移動手段・物理的に小さいほうが良いと考えていたため、中古車屋さんで車を選ぶ場合には、こうした僕の考え・コンセプトを伝えて、「このお店で一番コスパが良いと思われる車を複数台候補としてあげてください」と伝えるのだった。
こうして提示された複数台の候補から選択するわけだが、仮に5台の候補が提示されたときに「なぜAが50万円でBが60万円なのかを教えてほしいです」と、価格設定の根拠を確認していた。
Aが50万円の理由を単体で聞いてもはぐらかされるが、Bと比較してなぜこの値段なのかを聞けば、答えてくれることが多かった。これは、お店の方にとっての価格設定に対する一貫性の法則を悪用するかのような質問方法で、意地悪だったなぁと反省する。
これに回答できなければ、根拠のない価格設定にしていることになるし、逆に答えてしまえばCやDとの比較にも一貫性が要求されることになる。
そのうえ、Aに決めたあとも値切り交渉もしっかりやってた。5万程度は減額できることが多かった。羽振りも悪ければ時間もかかって、繰り返すがお客としてはサイテーだ。
決していつもいつもケチケチしてるタイプではないのだが、「人間は大きな数字を前にすると馬鹿になる」傾向があるので、その点はかなり気を付けていた。たとえば、一杯120円のコーヒーを飲むか160円のラテを飲むか、110円のツナマヨおにぎりにするか140円の明太子おにぎりにするか。こうした数十円・数百円の戦いにおいて、お財布事情を考えて安いほうを選択する人は多いわけだが、一方で車を買うとなれば、200万円予算だったところをオプション追加のアップセル営業を受けて220万円とか平気で契約しちゃうのが我々だ。普段数十円で迷ってるのに、200万も220万も変わらないか!みたいなバカな判断をしてしまう。
これはお相手の営業さんも同じで、「10万円安くなれば今決めます」と言えば、一定の裁量権のある担当であれば事を前に進めてくれるのである。譲歩して譲歩して5万円減額で折り合うみたいな。
さておき、今回のニュース報道を見て「あー、やっぱり、なんかわかる」という感想を持ったわけだが、それはきっと信用してなかったんだなと。
自分では価格の適正さを判断できない中古車という分野を僕は信用することができず、それが客としての態度に表れていたんだなと自覚した。