何年か前、ミュージカル仕様の映画版(ヒュージャックマンのやつ)を見たのが強烈につまらなかった印象があって、期待せず1話だけ見るつもりが、全8話見てしまった。
これはレミゼの完成版、オススメ。
細かい描写が伝わってきた。
たとえば、ファンテーヌ
2時間映画だと、ただ悲劇のヒロインという見え方にどうしてもなりがちなんだけど、そうじゃなくて、(表現は悪いが)バカで世間知らずで人を鵜呑みにして自分で深く考えない危うさが、ちゃんと伝わってくる。それがコゼットに遺伝してる感じも出てる。この時代の出自の違いからくる教養不足が、(ありありとではなく)ほんのり出てるのが良い。
または、ジャベール
最後どういう気持ちだったかを言わないところが良かった。ミュージカル仕立てだと「ジャンバルジャンに負けたよ」的な感動をお届けしようとするんだがこれが甚だ寒い。ジャベールは、ジャンバルジャンに負けたんじゃなくて自分との葛藤に苦しみ死を選んだだけ。あと、冒頭で出自が獄中出産という点も触れてて、少し闇を抱えてる感じがちゃんと伝わってきた。
そんでもってジャンバルジャン
全体的に気持ちの葛藤が少なかった感はあるが、逆にそういうのを表に出さないところが良かったのかもしれない。原作だとジャンバルジャンの罪への向き合い方が壮大なテーマではあるんだが、映像作品にしようと思ったらこのくらい控えめな感じがいいかも。
ということで、ミュージカル仕立てのつまらない映画はやめて、これから見る人はドラマ版がオススメ。