言った言わないは、最終手段

要件定義において、あるシステムの機能仕様に関してA動作かB動作かを顧客に選択してもらうとする。
議論や検討を重ねて、顧客はここで「A」を選択した。
打合せ議事録や課題管理表に、”〇〇については「A」とする。” と記載する。
(Aは四捨五入の動作、Bは切り捨ての動作 といったように)

・・・半年後・・・

運用テストの段階になって、顧客が「Aでは困る、Bだと思ってた」と発言したとする。
さてここで「あのときあなたはAと仰ってましたよね?」と出るのは良くない。
なぜ今Aになっているかを、「言った言わない」を抜きにして語れるかどうかが上流SEの腕の見せどころ。Aという検討結果を得るまでに投入したインプットを説明して、「コレコレこういう判断でAとなっております。」と説明するべきだ。

そうすることで、お相手さんが自ら「自分が言ったことだ」と思い出すことを手伝う。
経験上、最初から「あなたが言ったから」を持ち出すことは、相手の感情を逆なですることになったり、あるいは逆の立場になったときに一切の譲歩を得られなかったりする。

言ったか・言わないかだけを追求しあうプロジェクトというのは、何せ雰囲気が悪い。
それがビジネスだと言われればそれまでだが、言葉を切り取られる可能性があるのでメンバーの発言の自由度も下がってしまう。

感覚としては、最終的に「言った言わない」を決定づける打合せ議事録というカードは切り札として裏で常に携えつつも、それをチラチラ見せるのではなく、できるだけ見せずに戦う。
どうしても埒が明かない状況になれば、しぶしぶ困ったなという顔をしながら、これだけは言いたくないのですがという演技をしながら、出すのがいい。

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