できるところはほっとけ

バンタム級を統一した井上尚弥選手が、NHKのドキュメントで「できるところはほっといて、できないところを鍛える」とコメントしていた。
巷では「短所の克服より長所を伸ばせ」といったありがたい言葉が蔓延しているなかで、世界最強王者はそういう見方をしているらしい。結局のところこうした二元論に逃げて画一的な答えを求めることがおかしい。そのどちらかならできると考えていることもおかしいし、もしそうならもう少し頑張ってどっちも磨けば間違いないだろう。

さて、年齢を経てくると明らかな弱点みたいなものは克服しておいて良かったなと思う事が多い。その1つが行動を習慣化するということ。どうせやるなら「毎日やるほうが楽」だということを経験的に理解している。2日に1回とか3日に1回とかだと、やらない日とやる日の反動差が大きく出るので動き出すのにエネルギーが必要になる。そうしたどうでもいいことにエネルギーを使いたくない。

逆に今や克服できないことが自明となり絶望していることもある。これが長期的な人付き合い。会社や学校では業務スキルとしてニコニコしておくことが自然とできるが、これはあくまでONの自分であってOFFの自分は到底褒められたものではない。それはまるで自分のことしか考えていない愚か者そのもので、いわく「時間がもったいない」が口癖らしい。無論(親しい人を除いては)そんなことを人前で言えばシンプルに詰むので深く付き合わないようにセーブするしかない。

若い頃は長所を伸ばすと良いと思うが、残酷なことに年老いてからは短所の克服ができないことに絶望することになる。

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