オッペンハイマー(2023, アメリカ)

難しかった。予習しなかったことをちょっと後悔するくらい。ここで整理しておきたい。

まず、僕ら日本人目線では、オッペンハイマー=原爆を開発した人=原爆の話と脳内ですり替えてしまうが、あくまで主題にあるとおり、この人の人生の話。もちろんその中に、僕らが想定するようなヒロシマの悪夢、からの開発者の葛藤も描かれているものの、それは一部って感じ。

おおよそ3つのセクションがあったと思う。
1.物理学者としての強い好奇心から原爆開発・投下も賛成
2.英雄となるも投下後の葛藤と、水爆反対とソ連スパイ疑惑
3.ストローズとの不仲、最後はストローズが失脚、オッペンハイマーのスパイ疑惑が晴れる

1.物理学者としての強い好奇心から原爆開発・投下も賛成
量子力学の可能性を信じていた若き天才物理学者オッペンハイマー。マンハッタン計画のリーダに任命される。軍部のグロービス大佐とともに、ロスアラモスに研究のための施設を作り、有能な科学者たちを集めて核開発を始める。当初はナチス・ドイツを標的としていたが降伏したため、標的をジャパンに変更する。「一度の爆発が大気中の原子に連鎖して世界が終わる」可能性をアインシュタインに相談するが、アインシュタイン大先生は、「だったらやめとけ」と言われる。が、物理学者としての好奇心が上回り開発は進み、実験は成功する。軍部に渡され、ヒロシマへの投下をラジオで知る。

2.英雄となるも投下後の葛藤と、水爆反対とソ連スパイ疑惑
英雄となり、アメリカ中から持ち上げられる。トルーマン大統領にも呼ばれてたたえられる。米国には投下を否定する者がおらず、これで終わらせることができたと万歳。これをきっかけに核開発競争が激化。アメリカはイケイケどんどんで次は水爆いくぞ!の勢い。しかし英雄は、誰よりも葛藤を抱えていた。原爆被害者の様子がフラッシュバックし、爆発音が耳から離れない。
ここでもともとオッペンハイマーをよく思っていないストローズが、ソ連の早々の原爆開発成功を聞き入れて、オッペンハイマースパイ説を流布する。水爆開発に反対したり、妻や弟が元共産党員だったりと、おいオッペン怪しいぞと。

3.ストローズとの不仲、最後はストローズが失脚、オッペンハイマーのスパイ疑惑が晴れる
ストローズの個人的なオッペンハイマーへの恨みから、オッペンハイマーは聴聞会で追い詰められていく。ストローズは野心家で商務長官の座を狙って、水爆開発もイケイケどんどん派。一方オッペンハイマーは心ここにあらずって感じで、対抗するわけでも弁解するわけでもなく、淡々と聴聞に対応する。ストローズの策略どおり、オッペンハイマーは公職を追放される。が、あとになってオッペンハイマーを追い詰めた検察官のロブが実はストローズの差し金だったこと等が発覚し、またオッペンハイマーの功績を知る科学者たちやグロービスの証言等から、ストローズは商務長官にふさわしくないということになり失脚。オッペンハイマーのスパイ疑惑も一応晴れた。

と、こんな感じ。

これからの人は、ちゃんと予習してから行ったほうがいいよ。難しいよ。

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