保守サポートは、単発仕事じゃないんだよな

システムを導入したあとの5年間の運用保守契約とか、あるいはクラウドサービスの利用契約に保守サポートサービスがつくとか、SIビジネスでは結構あると思うんだけど。

これを、日々担当者を交代する当番制で対応するってのは、妥当かどうか。

「問い合わせが来て対応する」という1つ1つは単発に見えても、過去に発生した事案との関係や、将来への影響と見通しがあるから、ずーっと長く続く1つのプロジェクトのように考えたほうがいい。
だから、対応記録・交渉記録・修理記録みたいなものをデータ化して引き継いでいくのだが、それってのは効率の良いことではないことは確か。

だって、もし仮に、合理的なとある個人が、無限に稼働できて、能力が衰えず、休みなく働けるというなら、そっちのほうがいい。経路依存的な問題はすべて彼のなかで解消できるから。
で、それは不可能だから、体制を組む。それによって、組織として経路依存的な問題をなくしていく。ここまではOK。

ところが、その組織の中の人が、当番制で日々入れ替わるとどうなるか。
まず、直近の出来事がわからない。「日報や対応記録を読む、引継ぎを受ける」から1日が始まる。これがもう効率が悪い。
加えて、現場では、文章で記録されていない状況に直面する。昨日の担当者に確認する。また効率が悪い。その間、顧客を待たせる。これはサービス品質が低い。
これが続くと、その日の担当者のホスピタリティが下がる。「今日適当にやって明日の彼に引き継ごう」みたいな。
全体として、ものすごくコストがかかるうえに、回転は悪く、モチベーションの維持が難しく、応対品質が悪い。

結局は、構築系プロジェクトを優先したいから、だけどそこに十分なリソースを準備できないことに対して、何とか既存の人員を二重化・三重化させたように見せて、数値上は足りているように繕ってるだけ。インプットできる総量が変わってないのに、回転させるだけで出力が増えるわけないでしょ。それどころか、上に書いたように生産性は落ちてると思うぞ。

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